これはTFPが流行していた1997年頃書いたメモです。今となっては時代遅れかもしれません。
Copyright : 青木敦
アジアの成長
成長の要因:クルーグマンの説明は、生産要素(労働・土地)の投入増加、資源動員。つまり、欧米や日本の発展パタンでなく、ソ連と同じ。
成長会計分析(成長率を、要因別に分析)
経済成長率=生産効率(TFP)の改善率+Σi生産要素の費用シェア・i生産要素の増加率
経済の需給が一致していれば、経済拡大には2つ。1つは労働や資本用役、中間投入といった生産要素の投入量を増やす(たくさん使えばたくさん作れる)。もう1つは、同じ生産要素投入量で生産効率性(全要素生産性、Total
Factor Productivity)を高めること。
シンガポールなど、明らかに要素投入の増加によるものだ。それに対して、台湾・香港は生産性改善率(1960-1989)が際立って高い。しかし、世界銀行の統計では、アジアはむしろ生産性が高いという。統計にもよるのだ。
要素投入の増加に成功したのは、市場経済の功績であり、アジアはこれに成功した(ソ連は失敗。中国はどうなるだろう)。
問題は、こうした考えを工業化以前の社会に参考にできるかだ。 歴史だと、人口増加率が問題になってくる。 現代では、経済成長を上回る人口増加は、ほぼあり得ない。さっきの式ではGDPだから一人当たりは入っていない。 しかし現実に、先進国の基準とは、やはり per capita だから、GDPを増加させつつ per capita が減少、先進国から途上国へ転落という場合が有得れば、それは経済成長ではないだろう。
年間の人口増加率と2倍になるまでの時間:
1.18=2.14359
1.0170=2.0067
1.00886=2.00017
1.005139=2.00024
過去の中国のGDPが上昇というとき、それが生産効率の上昇なのか要素投入の増加なのか。労働投入は増加。前近代社会で、TFPを増加させる技術革新は存在するのか?
(1) まず、TFPが独立変数として改善されるか否かは、全く不明。立場による。しかし、TFPが悪化することはないはず。仮に労働生産性が低下しても、必ずそれを上回る土地生産性の向上が表裏しているはず。
(2) 市場が発達するというのは確か。つまり一国の経済成長率は、各地域の経済成長率の積分だから、交通が発達すれば、要素投入は増える。
(3) 要素賦存の変化もある。
労働は増加するか−−する。
土地は増加するか−−労働の増加率ほどではないのではないか。
労働も土地も減少することはない。だからGDPは上昇するであろう。
しかし、どれが独立変数なのかわからないので、一人当たりとしては、一切不明。